生涯教育(CE)

2016/05/08

Pharm.D.クラブ年表(2006年4月~2016年3月)

「pharm.D.クラブ年表 (2006-2016).pdf」をダウンロード

2016/04/24

第120回10周年記念コラム「Pharm.D.クラブ結成10周年を迎えて」

                 Pharm.D.クラブ代表 岩澤 真紀子

 はじめに 

 20064月,日本の薬学教育が6年制に移行し,時を同じくして「Pharm.D.クラブ」が発足しました.発足時は数名のメンバーで,この公開用ブログで情報発信をすることから始まりましたが,現在では会員も23名になり,発足当初からの目標の一つであった「海外で学んだ臨床教育を日本の臨床教育に活かせる形で書籍にする」ことも達成することができました.このほか,各々のメンバーが,医学・薬学関連学会でのシンポジウム講演や大学講義など,薬学・薬剤師教育に貢献すべく活動しています.

 この10年間,日本の薬剤師を取り巻く環境はめまぐるしく変化し,「Pharm.D.クラブ」もその変化の中で,海外で得た経験や情報を伝えるタイミングや方法等,留学経験者としての役割を考えながら活動してきました.今回は,「Pharm.D.クラブ」結成から現在に至るまで,10年間の活動の軌跡をご紹介したいと思います.「pharm.D.クラブ年表.pdf」をダウンロード

Pharm.D.クラブ誕生 

薬剤師にとって,臨床体験を通じて継続して学んでいくことは非常に重要です.将来日本への帰国を視野に入れている薬剤師にとって,留学により日本の現場を何年も離れなければならないことは大きな悩みの一つです.一方,海外留学後日本に帰国した者にとっては,日本での薬学知識に加えて海外情報までアップデートしていくことは相当大変です.私自身,より高度なスキルを身につけようとすればするほど留学期間が長引き,日本の臨床現場から遠ざかるといった状況に悩む中で,日本と海外で情報交換しながらお互いを高められるようなネットワーク作りの必要性を感じるようになりました.

 私たち留学経験者の不安の一つに,Pharm.D.を含め海外の臨床薬学の学位を持つ者は日本で非常に少なく,日本社会での評価が定まらないということがあります.そこで,留学の意義を評価してもらうためにも,「留学経験者のユニークな視点・経験・スキルを,実際に日本で役立つ形で示さなければならない.そのためには,海外留学で得た経験やスキルを一般公開し,日本の薬学発展に寄与できる組織作りをしなければならない」と考えました.当時,私より前にPharm.D.留学した上塚朋子先生が,留学体験をブログで情報発信していました.そのブログを通じて交流を深め,互いのネットワークから同志を募って誕生したのが「Pharm.D.クラブ」です.

「行動型」の組織作り

 Pharm.D.クラブ」を結成するにあたり,どういった形の組織作りが適切か,いろいろな可能性を考えました.大学院の勉強に追われている留学生にとって,留学情報の提供は「復習」にあたり,優先順序が下がります.そのため,いろいろなプロジェクトへの参加を要求する組織では協力者が集まらないことが予想されました.また,日本の薬剤師にとって有益な情報提供と企画作りを行うためには,海外留学経験だけでなく,日本の薬剤師経験があることも重要になってきます.そこで,個々の薬剤師経験や活動への参加意欲により,会員ステータスを本会員と準会員の2つに分けました(会員資格).さらに,一般への情報公開の手段として,このブログを開始することになりました.ブログの他にも,その時々の薬学事情に合った企画を立案し,会員が協力しながら企画の実現を目指しています.

 Pharm.D.クラブ」というネットワークの名称を決めるまでには,いろいろな議論がありました.メンバーには英国やオーストラリアで学位を取得した者もいること,メンバーをPharm.D.に限らず広く海外から募りたかったことなどからです.しかし,日本の読者にとってわかりやすい名称で,かつ親しみやすい組織である点をアピールしたかったことなどから,この名称に決定しました.

「薬剤師のための臨床思考力トレーニング ケースで学ぶ薬物治療」発刊まで

 日本の臨床教育に役立つ書籍を発刊することが,Pharm.D.クラブ発足時からの目標の一つでした.海外で勉強したことをそのまま日本語に訳しても,日本と海外ではガイドラインや薬の投与量など,一致しないことも多々あり,日本の臨床現場では使えません.さらに,メンバーそれぞれが勉強や仕事で忙しい中,マンパワーの問題もありました.そこで,日本で臨床ガイドラインがある疾患の中から,薬剤師が最低限知っておくべき疾患を幾つか取りあげることにしました.さらに,執筆分担の際に海外と日本の会員をペアにし,双方の視点から内容を確認しあえる体制を整えました.

 会員にとって書籍作りは初めての経験で大変でしたが,5年の年月をかけてようやく書き上げた書籍が,201011月に発刊された「薬物治療モニタリング ケースで学ぶ臨床思考プロセス」です.この書籍にさらに内容を加え,201410月には「薬剤師の臨床思考力トレーニング ケースで学ぶ薬物治療」を発刊しました.発刊以来,薬学関係の多くの方々にこれらの書籍をご購入いただきました.私たちの海外での経験が,日本の薬剤師教育に貢献できることを切に願っています.

時代のニーズにあったシンポジウム企画~グローバルな視点からの情報発信を目指して~

  Pharm.D.クラブでは,医療薬学会年会でのシンポジウムをはじめとして,会員の企画による講演活動を行っています.企画の際は,日本の臨床現場のニーズにあった話題を取り上げ,「海外のお話」にならないよう,シンポジウムの内容や方向性を事前にシンポジスト間で電話会議で話し合っています.2010年の医療薬学会年会では,「米国のCDTMの紹介や日本でのCDTM導入への提案,薬物治療モニタリングに必要な考え方や臨床スキル,ICU薬剤師の役割等」を取り上げました.その次の年には,臨床現場での教育スキルに悩む薬剤師に向けて,「臨床現場で役立つティーチング・コーチングスキル」を取り上げました.

 最近では,会員以外の方と協力して学会シンポジウムなどを行なうようになりました.2014年の医療薬学会年会では,「業務効率化,スタッフ教育,医療安全対策」など,薬剤師が病棟活動に集中できる環境を整えるために必要な課題について議論しました.10周年にあたる今年は,9月に京都で行われる医療薬学会年会にて,「薬剤師のワークライフ・マネージメントを推進しよう!日欧米における両立支援、復職支援と多様な働き方を考える~」というテーマでシンポジウムを行います.最近この話題で持ちきりですが,薬剤師業界においても多くの職場が抱えている問題です.大きなテーマですが,私たちの日本と海外での経験が,問題解決のためのヒントに少しでもなれば幸いです.多くの方のご来場をお待ちしています.

薬剤師の将来のために

 近年,日本人の留学生が減少傾向にあり,臨床薬学領域についても同様に減少していることを感じます.理由は様々ですが,ダイバーシティーの重要性が近年叫ばれる中,グローバル人材が減少していくことは大変危惧されます.このような状況の下,私たち留学経験者が日本で頑張り続けなければ,後に続く者が一層いなくなるのではないか,というプレッシャーを感じることも少なくありません.

 薬学教育が6年制に移行して10年が経過し,留学の意義も,これからの時代に求められるものは違ってくると思われますが,グローバル人材が不足している薬学分野はPharm.D.教育に留まりません.医療経済,レギュラトリーサイエンス,医療IT,さらには薬剤師の専門領域においても,日本にない専門領域が海外にはまだ数多くあり,発展できる余地があります.日本が世界から取り残されないためにも,グローバルな視点を養うことの重要性を私たちは訴え続けていかなければいけないと考えています.

 「日本でよりよい臨床教育・薬剤師臨床業務を実現したい」という思いを胸に, Pharm.D.クラブではこの10年間,日本の薬学発展のためにできることを考えて活動してきました.これまで活動をサポートしていただいた薬学関係の多くの皆様に感謝いたします.いろいろな場を与えていただいたおかげで,会員それぞれが大きく成長した10年間でした.今後は気持ちを新たに,今後私たちが果たしていくべき役割を再考し,活動を続けていく所存です.引き続きPharm.D.クラブの活動をご支援のほど,よろしくお願い申し上げます.

 

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