生涯教育(CE)

2010/12/07

第20回医療薬学会年会シンポジウムのアンケート結果から①:参考文献について

20回医療薬学会年会シンポジウム17でのアンケート結果から①:参考文献について

 1114日に行われた医療薬学会年会シンポジウムにおいて,数名の参加者の方からスライドの配布資料が欲しいとの要望をいただきました.今回のシンポジウムの内容は,すでに出版済みの内容と,今後出版を企画している内容を含んでいるため,大変申し訳ありませんが,全てをブログ上で公開することができません。ご了承ください。

 ここでは,各演題で使用した参考文献,および参考になると思われる資料の中から,日本の薬剤師の方々にも入手可能と思われるものについて情報提供いたします。

演題1

Shiraz R. Gupta, et al. Association between hospital size and pharmacy department productivity. Am J Health Syst Pharm.2007; 64: 937-944

演題2

A. 米国の病院薬剤師臨床業務

Ø  Bond CA, Raehl CL.2006 National clinical pharmacy services survey: clinical pharmacy services, collaborative drug management, medication errors, and pharmacy technology. Pharmacotherapy. 2008:28(1):1-13.

Ø  Perez AP, Doloresco F, et al. Economic Evaluations of Clinical Pharmacy Services: 2001-2005. Pharmacotherapy. 2008:28(11):285e-323e.

Ø  Bond, C.A and Raehl CL. Clinical Pharmacy Services, Pharmacy Staffing, and Hospital Mortality Rates. Pharmacotherapy. 2007:27(4):481-493.

B. 米国におけるCDTMの実際

Ø  Carmicharl JM, O’Connell B, et al. Collaborative drug therapy management by pharmacists. Pharmacotherapy. 1997:17(5): 1050-1061.

Ø  Hammond RW, et al. ACCP position statementCollaborative drug therapy management by pharmacists-2003. Pharmacotherapy. 2003:23(9): 1210-1225.

Ø  McKnight AG, Thomason AR. Pharmacists’s advancing roles in drug and disease management: a review of states’ legislation. J Am Pharm Assoc. 2009: 49: 554-558.   

C. このほか参考になる資料

Ø  Tracy SA, Clegg CA. Collaborative drug therapy management handbook.

Bethesda

,

MD.

American Society of Health-System Pharmacists; 2007. (どちらかというと薬剤師による外来診療クリニックあるいは薬局向けの内容)

Ø  Cooper T, Taber D, et al. Implementation of a collaborative drug therapy management service for inpatients receiving direct thrombin inhibitors. Am J Health-Syst Pharm. 2009: 66: 1297-303.(実際に使用されているプロトコールが公開されている)

Ø  Damaske DL, Baird RW. Development and implementation of a pharmacist-managed inpatient warfarin protocol. BUMC Proceedings 2005; 18: 397-400. (サンプルサイズは小さいが,パイロットスタディの例)

演題3

Ø  Robert Cipolle, Pharmaceutical Care Practice: The Clinician's Guide, 2nd edition,New York, McGraw-Hill, 2004

Ø  The UKMi Training Workbook 6th edition (2009)

演題4

A. 参考文献

Ø  Leape LL, Cullen DJ, Clapp MD, et al. Pharmacists Participation on Physician Rounds and Adverse Drug Events in the Intensive Care Unit. JAMA. 1999: 282(3):267-270.

Ø  Kane SL, Weber RJ and Dasta JF. The Impact of Critical Care Pharmacists on Enhancing Patient Outcomes. Intensive Care Med. 2003;29:691-698.

B. このほか日本のICUにおいて参考になる資料

Ø  Marino PL. ICU Book, 3rd edition, Lippincott Williams & Wilkins Publishers. 2006.

2010/11/18

第20回医療薬学会年会シンポジウムを終えて

 20回医療薬学会年会では、私たちの講演に大勢の方にお越しいただきましてありがとうございました。多くの参加者の方から前向きなコメントをいただき、今後の活動の励みになります。

 今回は、①欧米の話をただ伝えるのではなく、それを日本でどう応用するのかを考えてもらえる内容にしたい、②今まで経験・感覚的に薬物治療モニタリングを行っていたという方が、考え方を整理することで、より系統的・論理的に薬物治療モニタリングを行えるようになってもらえる内容にしたい、③今後の臨床業務開拓の方向性を示すことで、自分もやってみよう、これぐらいのことはできる、すでに日本でもやっている、と自信をもってもらえる内容にしたい、④シンポジウムの話題を関連付けることで、限られた時間の中で、密度の濃い内容を効率的に伝えたい、⑤欧米も日本も、薬剤師として果たす責任は共通である=垣根を越える、というメッセージを盛り込みたいと、メンバーで5月ごろから話し合いを続けてきました。 

 考え方に焦点をあてるため、すべての演題であえてシンプルな症例を作成しましたので、ベテランの先生方には内容がやさしすぎると感じた方もいたかと存じますが、企画意図をご理解ください。

 私たちも今回のような大人数の前での講演経験がまだ少ないため(そうは見えなかったかもしれませんが、皆、緊張していました)、質問への回答にはっきりお答えできなかったものも多く、反省しております。アンケートに書いていただいた質問とともに、このブログで再度お答えしたいと思います。

 なお、会場で配布したアンケートにいただいた質問・要望と、電子メールで個別にいただいた質問に関しましては現在整理中ですので、今しばらくお時間をいただければと思います。

 今後ともPharm.D.クラブの活動をご支援いただけますよう,よろしくお願い申し上げます.

                     岩澤、上田、上塚、錦織、前田

1)CDTMのインパクトはどのように証明されているか?

  • CDTMのインパクトは数多く雑誌に報告されている

  • 多くの病院では介入(医師への問い合わせを含む)の種類をカウントしているため、数の上で、薬剤師がどの分野に貢献しているかを見ることが可能

  • 医薬品使用調査(MUE):例えば、ガイドライン変更によって、バンコマイシンのターゲットを15-20に引き上げた際、それが腎機能悪化にどれだけ影響するか、という安全性に関するMUEを行う。

  • パイロットスタディ:例えば、バンコマイシンをプロトコール管理にする場合とそうでない場合で、有効血中域に入るまでに投与日数にどれだけ差が出るか差が出た日数によって、どれだけ薬剤費を節約できるか

  • 以前は介入の数によって、薬剤師の新規雇用数に反映させたりすることもあったようだが、最近では薬剤師が介入を行うのは当たり前のこととして、こういったインセンティブがなくなりつつある。しかし、Joint Commissionの認定を得るために、その評価項目となっている介入事項(ワルファリン、DVT予防など)については、経営側も薬剤師に任せることに積極的である.

2)24時間365日 プロトコールを利用したインターベンションが可能なのか?

  1. 聖ジョセフ病院の場合

  • 基本的には24時間体制なので可能。プロトコールには、患者アセスメントに時間がかかるものとそうでないものがある。たとえば、腎機能低下の患者の投与設計などは、データベースに腎機能低下時の投与量の情報があるし、プロトコールにも投与量が書かれているので、CrClを計算することさえできれば、夜間でも比較的時間をかけずに変更可能である。同効薬スイッチなどは(院内フォーミュラリーへの変更)、患者アセスメントを必要とはしないので、簡単に行える。

  • 一方、抗生剤については、患者情報の詳細を得るのに時間がかかる場合もあることから、プロトコールによって初期投与量を処方した後は、日中いる臨床薬剤師に細かな患者情報収集とアセスメントを委ねている。また、可能であれば夜間にトラフ値をオーダーしないよう、夜勤の負担を減らすよう心がけている。

  • 夜間は、優先順序の高い、どうしても夜間に処理しなければならないプロトコールのみ行う。例えば、ヘパリンIV、抗生剤など緊急性のあるものを優先し、ワルファリンについては、17時投与と規則があるので、処方受け取り時に患者が当日分を服用済みかを確認し、服用済みであれば次の日の臨床薬剤師に患者アセスメントを委ねる。

2.テンプル大学病院の場合

  • 臨床薬剤師は基本的には平日日中勤務のみなので、夜勤帯の対応は調剤に従事する薬剤師が対応することとなる。基本的にはプロトコールに基づいてその薬剤師が対応するが、どうしても必要な場合は臨床薬剤師に問い合わせすることも出来る。土日は薬剤師レジデントが交代でバンコマイシン、アミノグリコシド、ワーファリンなどのモニタリングをする

3.メリーランド大学メディカルセンターの場合

  • テンプル大学病院と同様に臨床薬剤師は日中勤務で、夜勤帯の対応は調剤に従事する薬剤師が対応することとなる。基本的にはプロトコールに基づいてその薬剤師が対応する。臨床薬剤師と薬剤師レジデントが交代で夜勤帯や土日祝日にオンコールを請け負っているので、薬剤師が電話することも出来るし、医師や看護師が直接臨床薬剤師に問い合わせることも出来る。また、土日には薬剤師レジデントを含めた臨床薬剤師が交代でTDMを行っている。

3)プロトコールを運用していると、考えない薬剤師が出てきてしまいそうだが、そのあたりの教育をどうしているか?

  • アメリカでも日本でも、努力しているものは実力がつき、そうでないものは実力がつかないのは同様。

  • アメリカの場合は、大学教育の中で、考え方を身につけてくる。今後薬学教育6年制により、ベースラインが高まることが期待される。生涯教育制度、専門薬剤師制度など、日本でも自己研鑽の方法が増えてきており、考えられる薬剤師が増えてくることが期待される。

  • プロトコールは、新人でも、学生でも、同様に投与設計ができる必要がある。考えない薬剤師が出てくるという指摘は確かではあるが、逆に、考える力がない薬剤師でも、一定水準の答えをだせるというのは利点である。

  • アメリカの場合、組織がミスをカバーしてくれないため、自分の免許は自分で守らなければならない。そういった意味で、勉強しなければ、自分の免許の危険性を高めることになる。雇用も終身雇用ではないため、ミスが多ければ首になる。

4)スタッフ薬剤師の介入のレベルは?

  • スタッフ薬剤師とは、主に調剤室で処方監査にかかわる薬剤師をいう。コミュニティー病院では、ハイブリットといい、薬剤師がスタッフ薬剤師と臨床薬剤師の仕事をローテーションする場合も多い。聖ジョセフ病院ではこのハイブリット形式をとっているが、各薬剤師の臨床スキルのレベルにより、臨床薬剤師業務にあてがわれる日数が異なる。

  • スタッフ薬剤師は一般的に臨床に強くない場合が多いが、薬剤師個人の能力・経験しだいのところがある。

  • 聖ジョセフ病院では、各々の薬剤師がどれだけの介入を行ったかという数を、マネージメントが評価している(最近はマネージャーが変わったので行わないが、以前は月々、各薬剤師の介入件数が毎月紙で張り出されていたので、件数が少ない薬剤師にはプレッシャーがあった)。臨床に強い薬剤師は、それだけ処方介入できることに気がつくので、介入件数が多い。私個人は、1ヶ月に平均300から400件介入を行っている。臨床に強くない薬剤師の場合、この3分の1から2分の1の介入件数である。

  • メリーランド大学メディカルセンターではスタッフ薬剤師の介入の評価は行っておらず、臨床薬剤師の介入の評価のみ行っている。スタッフ薬剤師と臨床薬剤師の介入の違いについては、臨床知識の違いもあるがスタッフ薬剤師が得られる情報量の違いもある。

5)参考になった教科書・資料は?

  • 大学の授業などで一般的に使用される薬物治療書

    • Koda Kimble, Applied Therapeutics

    • Dipiro, Pharmacotherapy

  • 臨床薬剤師が一般的に利用する資料

    • New England Journal of Medicine

    • JAMA

    • その他のメジャーな原著論文(LancetCritical care medicine, Chest, Clinical Infectious diseasesなど)

    • LexicompMicromedexなどの薬物データベース

    • 診療ガイドライン各種

  • イギリスで汎用されるテキスト

    • Linda J. Dodds ,Drugs in Use: Clinical Case Studies for Pharmacists 

    • Roger Walker ,Clinical Pharmacy and Therapeutics

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