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2022/08/30

第195回コラム「COVID-19経口薬 Paxlovid (パキロビッド)」

横田 麻衣

COVID-19パンデミックが始まり約2年半を迎えようとしている。パンデミック宣言当初と比べるとウィルスについての情報が増え、治療薬やワクチンも普及してきた。
アメリカではCOVID-19経口薬Paxlovid(パキロビッド)の緊急使用が2021年12月より承認された。勤務している外来クリニック内の薬局でもパキロビッドの処方箋を受け、調剤することがある。また、先月COVID-19に感染したバイデン大統領も服用したことから最近更に注目が置かれている。今回はCOVID-19新経口薬、パキロビッドについて情報を共有したいと思う。

Paxlovid (パキロビッド) とは

一般名:ニルマトレルビル、リトナビル

作用機序:

・ニルマトレルビル…タンパク質合成酵素であるプロテアーゼを阻害することによってウィルスの増殖を防ぐ。

・リトナビル…ニルマトレルビルの代謝を阻害することで体内濃度を保つ。
対象:

5日以内にCOVID-19症状が発症した重症化因子(入院・死亡)を有する軽症から中等症の成人または12歳以上であって体重が40kg以上ある小人。

用法・用量:
ニルマトレルビル150 mg 2錠 (ピンク色)
リトナビル100mg 1錠 (白色)
合計3錠を1日2回、5日間服用。
中程度の腎機能低下(eGFR=30〜60 mL/min)患者の用量・用量:
ニルマトレルビル150 mg 1錠 (ピンク色)
リトナビル100mg 1錠 (白色)
合計2錠を1日2回、5日間服用。

重度の腎機能低下(eGFR 30 mL/min以下)患者の用法・用量:

使用を推奨しない。
副作用:

味覚の変化または味覚不全、下痢、血圧の上昇、筋肉痛が服用者1〜5%に認められた。

重大な副作用として肝機能障害、中毒性表皮壊死融解症が挙げられる。

禁忌:
薬の成分・材料にアレルギーがある患者。また、リトナビルが強いCYP3A阻害薬であるため、CYP3Aに強く依存している薬物との併用が禁忌。

臨床研究

EPIC-HR試験では軽・中等症の患者に対して、症状発症から3日以内にパキロビッドを投与した場合、プラセボ服用者に比べて入院・死亡率が89%減少した。また、5日以内に投与した場合は87%減少した。
パキロビッド治療後のリバウンド症状
パキロビッドの緊急使用承認がおりて以来、バイデン大統領を含め5日間のパキロビッド治療後に再びCOVID-19陽性の検査結果が出るというリバウンド症状が見られることがあると報告されている。現時点でわかっていることは以下の通りである。

  • 病原体の薬に対する耐性ができたわけではない。
  • 治療が不十分であったためである可能性が高い。

現在、リバウンド症状の機序、リバウンド症状に罹りやすい患者の特徴、リバウンド症状がもたらす危険性など、更に詳しく研究が行われている。

薬剤師としての役割

現時点でのパキロビッドは配合剤ではなく、ニルマトレルビルとリトナビルそれぞれの錠剤を服用しなければいけないため、患者の混乱を防ぐために服用方法の指導をしっかり行う必要がある。アメリカでは通常の投与量と腎機能低下患者の投与量でパッケージが異なるため、調剤をする際に注意が必要である。また、腎機能の確認が可能な環境の場合は検査値を再確認することも重要となってくる。

リトナビルに薬物相互作用が多いため、患者の服用薬を確認することも大切である。CYP3Aに強く依存する薬はもちろんのこと、依存性が少しでもある薬の発症する可能性がある副作用に対して患者がどのよう自宅でモニタリングできるのか、どのような症状が出たら医師・薬剤師に伝えるべきなのかをしっかりと指導する必要がある。

参考文献

  1. Fact sheet for healthcare providers: Emergency use authorization for Paxlovid. (2022, July 6). Retrieved August 24, 2022, from https://www.fda.gov/media/155050/download?ftag=MSF0951a18
  2. Mlynaryk, N. (2022, June 21).Covid-19 rebound after taking Paxlovid likely due to insufficient drug exposure. UC Health - UC San Diego. Retrieved August 23, 2022, from https://health.ucsd.edu/news/releases/Pages/2022-06-21-covid-19-rebound-after-taking-paxlovid-likely-due-to-insufficient-drug-exposure.aspx 

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