生涯教育(CE)

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2019/08/24

第159回コラム「薬剤師による継続的な服薬指導」

伊野 陽子 Pharm.D.

  厚生労働省は、201811月の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会にて、薬局・薬剤師のあり方として「来局日以外の継続的な服薬指導」をあげ、「服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を実施し、その内容等を薬剤師が調剤録に記録することを法律上、義務化すること」を提案し、おおむね支持を得ました。薬剤師の義務として薬剤師法に、薬局開設者の義務として医薬品医療機器等法(薬機法)に、当該規定をそれぞれ新設する方針とされています。平成301018日 第7回 医薬品医療機器制度部会 資料2によると、薬局に患者の来局日以外の服薬期間中における継続的な服薬指導(電話による状況確認等の実施状況)について尋ねたところ、実施したことが「ある」との回答が39.9%であり、「ない」が47.9% と、半数程度の薬局が実施したことがあると回答していました。また、その必要性については、「患者によっては必要だと思う」が65.3%、「必要だと思う」が14.3%であり、合わせると8割ほどの薬局が必要だと考えていました。

 過去のコラムでも紹介されていますが1、退院時患者指導プログラムの一環として、電話を使った薬剤師のフォロー体制の有用性が世界的にいくつか報告されています。オランダでも同様に退院時患者指導プログラムにおける薬局によるフォローの有用性の報告があり2、退院時の患者教育(薬物治療の変更点や注意事項について説明したことを患者に復唱させ、理解度を評価する)、患者の退院後の薬物治療に関する電子記録の作成、薬局薬剤師による自宅訪問を介入として行うことによって、退院後4週間の時点での薬物治療に関する問題点が、コントロール群と比較して介入群で低くなったと報告されています。このプログラムを行う際の事前教育として、テクニシャンに対しては患者理解度を確認する際に必要なコミュニケーションスキルの訓練、薬剤師に対しては自宅訪問を行う際の標準的な方法、患者への対応、記録の取り方についての教育を行っています。

 外来患者に対する遠隔診療における薬剤師のサービスについての報告では、高血圧、糖尿病、抗凝固薬使用などの慢性疾患をもつ患者を対象に行われたものが多く、そのほとんどが電話で行われており、疾患マネジメント、患者自己管理、アドヒアランスに対して介入群でポジティブな結果が多かったこと、活動の特徴として、継続的に予定を立てて行われた活動の方が良い結果をもたらしていることが報告されています3

 日常の忙しい業務に加えて上記の業務を行うことは容易ではありませんが、業務の役割分担や対象患者の選別などを工夫し、地域住民のよりよい薬物治療に貢献できるよう、薬剤師がこれらの活動を考えていく必要があると考えます。

参考文献

  1. http://pharmd-club.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/130-05a3.html
  2. Daliri S, Hugtenburg JG, Ter Riet G, van den Bemt BJF, Buurman BM, Scholte Op Reimer WJM, van Buul-Gast MC, Karapinar-Çarkit F. The effect of a pharmacy-led transitional care program on medication-related problems post-discharge: A before-After prospective study. PLoS One. 2019 Mar 12;14(3):e0213593. doi: 10.1371/journal.pone.0213593. eCollection 2019.
  3. Niznik JD, He H, Kane-Gill SL. Impact of clinical pharmacist services delivered via telemedicine in the outpatient or ambulatory care setting: A systematic review. Res Social Adm Pharm. 2018 Aug;14(8):707-717. doi: 10.1016/j.sapharm.2017.10.011. Epub 2017 Oct 28. Review.

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