生涯教育(CE)

« 第146回コラム「ポリファーマシーと包括的な薬物治療の見直し(Comprehensive medication reviews / Clinical medication reviews : CMR)*」 | トップページ | 第148回コラム「Western大学でのEBM教育」 »

2018/08/27

第147回コラム「Pharm.D.取得後の薬剤師試験(NAPLEX/MPJE)について」

磯 友菜

 アメリカでPharm.D.プログラムを終えた場合、薬剤師として登録されるためにはほとんどの州でNAPLEXNorth American Pharmacist Licensure Examination)という実践薬学の知識を測る試験と、MPJEMultistate Pharmacy Jurisprudence Examination)という各州の法律の試験を受けなければなりません。これは日本の薬剤師国家試験に当たるものです。海外の薬学部を卒業していてPharm.D.プログラムに行かない場合、FPGECForeign Pharmacy Graduate Equivalency Examination)に合格してから州で定められた時間の実務研修を行い、NAPLEXMPJEを受験する方法もあります。

NAPLEX/MPJEは、日本のように1年に1回、一斉に試験を受けるのではなく、Pharm.D.プログラムを卒業後に自分でスケジュールを決めて受験します。Pearson VUE という様々なコンピューターベースの試験を請け負っている会社の施設から選択し、年間を通して自分の好きな時に受験することができます。(このPearson VUEは、日本でも、TOEFLGREなどの試験を受ける時に使われている会社です。)ただし、一度不合格になると、再度受験するまでNAPLEX45日間、MPJE30日間の期間を開ける必要があり、5回まで(1年間には3回まで)しか受験できません。 

NAPLEXはエントリーレベルの薬剤師として必要な知識や技術に関する問題が250問出題され、6時間(プラス10分の休憩2回)かけて受験します。250問中200問はスコアに換算されますが、50問はプリテストとして使用されます。プリテストとは、その問題を将来の試験に含めることが適切かどうかを評価するための問題で、スコアには反映されません。全体的に分散して配置されているため、受験者にはどの問題がプリテストか判別できないようになっています。200問の獲得スコアは0点から150点に換算され、75点以上で合格になります。MPJE120問出題され、20問がプリテストで、2時間半かけて受験します。スコアは0点から100点で、75点以上で合格になります。

NAPLEXのほとんどの問題はシナリオベース形式で、患者のプロファイル・薬歴・病状の経過が提示され、そこから患者の病態をアセスメントし、薬剤による副作用や禁忌、相互作用などが聞かれる基礎問題や、適切な薬物治療などの選択をする問題などが出題されます。適切な薬剤を選ぶためには、最新のガイドラインに沿った治療目標(検査値や治療期間)や、推奨されている第一選択薬、並存症がある場合に優先される治療薬、副作用やアレルギーがあった場合の代替治療などを把握している必要があります。問題は一般名だけでなく商品名でも出題されるため、主な薬品の商品名を把握している必要もあります。

 

 以下は、公表されているNAPLEXの出題分野です。

エリア1:安全で効果的な薬物療法と健康状態に対する成果の確保(約67%)

· 患者情報の取得、解釈、評価:治療記録、検査所見、症状、危険因子など

· 個々の治療計画の作成と実施:薬剤独特の副作用、禁忌、相互作用、薬剤の重複や必要な薬剤の欠落の確認、セルフケアなど

· 個別化された治療計画の評価と修正:治療目標やその結果、安全性・有効性など

· 個別化された治療計画の効果的なコミュニケーションや文書化の技術

· 個人および集団(地域住民)の健康と安全の推奨:文献の評価、参考文献の選択、投薬エラーの評価やその対策など

エリア2:医薬品の安全で正確な調製、調剤、投薬、管理と提供(約33%)

· 計算問題:薬物濃度、調剤に必要な投与量・速度、静脈栄養のカロリー計算など

· 滅菌・非滅菌製剤:調製に必要な施設の条件、調製の手順、混合物の特性など

· 医薬品の調剤、管理:医薬品の包装、表示、保管、取扱いおよび廃棄など

 

PharmDプログラムを通して学んだことは、臨床に即した内容がほとんどで、これは薬剤師試験を通しても見られる傾向だと思います。卒業後にすぐに薬剤師として働くことを、学生、教員、薬剤師の認定機関も意識しているように感じます。

 

Reference

1. Nabp.pharmacy. https://nabp.pharmacy/wp-content/uploads/2018/05/NAPLEX-MPJE-Bulletin-May-14-2018.pdf. Published 2018. Accessed July 28, 2018.

2. Nabp.pharmacy.NAPLEX/MPJE Bulletin. https://nabp.pharmacy/wp-content/uploads/2018/05/NAPLEX-MPJE-Bulletin-May-14-2018.pdf. Published 2018. Accessed July 28, 2018.

3. Pharmacy F. Florida Board of Pharmacy- Licensing, Renewals & Information. Floridaspharmacy.gov. http://www.floridaspharmacy.gov. Published 2018. Accessed July 28, 2018.

4. Computer-Based Test (CBT) development and delivery: Pearson VUE. Home.pearsonvue.com. https://home.pearsonvue.com. Published 2018. Accessed July 28, 2018.

« 第146回コラム「ポリファーマシーと包括的な薬物治療の見直し(Comprehensive medication reviews / Clinical medication reviews : CMR)*」 | トップページ | 第148回コラム「Western大学でのEBM教育」 »

コメント

職場に変化があり多忙を極めていたためご連絡することが出来ませんでした。
いつも丁寧なご解答や記事本当にありがとうございます。
薬剤師試験後は日本に一時帰国などされますでしょうか?
もし先生のご都合がよろしい日がありましたら直接お会いさせていただいて大学のお話聞かせていただけると本当に助かります。ぶしつけな質問で申し訳ありません。無理でしたらおきになさらないでください。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 第146回コラム「ポリファーマシーと包括的な薬物治療の見直し(Comprehensive medication reviews / Clinical medication reviews : CMR)*」 | トップページ | 第148回コラム「Western大学でのEBM教育」 »

2022年9月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

薬学関連のサイト

最近のトラックバック

無料ブログはココログ