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2018/01/31

第140回コラム「持参薬確認からMedication Reconciliationへ」

                 前田 幹広, Pharm.D.

日本の病院薬剤師にとって、持参薬確認業務は一般的な業務の一つである。持参薬確認というと、入院時に病棟薬剤師が、患者の持参した薬やお薬手帳を確認し、院内採用薬への薬品名・規格・用法・用量に変換することが主となっている。その中で、院内不採用薬における代替薬の提案や重複投与の回避、手術などで中止すべき薬剤の確認など、薬剤師の介入事例はすでに多く報告されている。

米国においては、持参薬確認という言葉ではなく、Medication Reconciliationという言葉が一般的である。”Reconciliation”は、「和解、調停」という意味だが、”Medication Reconciliation””The verification and communication of a patient’s medication regimen at points of transition in patient care” 患者の入退院や転院時に、服用薬剤の内容を確認し、伝達すること)と定義されている。具体的には、入院時・転棟時(特に集中治療室から一般病棟あるいは一般病棟→集中治療室)・退院時に薬歴確認を行い、評価する。評価は院内の薬歴と同様に、薬学視点でmedication reviewを行う。

 Medication Reconciliationは、急性期病院から長期療養型病院への転院で、非意図的に必要な薬が中止されたり用量が変更になることを防いだ報告や、薬に関する過誤を減らすなどの効果が報告されている1。一方、集中治療室でせん妄などに対して開始された抗精神病薬が、退院時に不必要にも関わらず継続されている実態なども問題となっている2。この問題は、集中治療室から一般病棟への転棟時や、退院時のMedication Reconciliationによって防ぐことができる(過去の関連コラムhttp://pharmd-club.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/102medication-r.html)。カナダでは、入院時と退院時のMedication Reconciliationの実施率が臨床薬剤師のClinical Indicatorとして用いられている3

このように、入院時に行う持参薬確認のみに焦点をあてるのではなく、入院時、転棟時、退院時に薬剤師が包括的に評価・介入を行うMedication Reconciliationという概念を広げていってはいかがだろうか。

Clinical indicator(臨床指標):診療の質を評価するための評価指標

 

1. Boockvar K, Fishman E, Kyriacou CK, Monias A, Gavi S, Cortes T. Adverse events due to discontinuations in drug use and dose changes in patients transferred between acute and long-term care facilities. Arch Intern Med. 2004;164(5):545-550.

    2. Tomichek JE, Stollings JL, Pandharipande PP, et al. Antipsychotic prescribing patterns during and after critical illness: a prospective cohort study. Crit Care. 2016 Nov 24;20(1):378.

    3. https://cshp.ca/sites/default/files/files/CSPH-Can-Concensus-cpKPI-Knowledge-Mobilization-Guide.pdf. Accessed on 2018.1.31

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